2008年2号
日米欧3極シンポジウム 「京都議定書以降の国際枠組とセクター別アプローチ」 開催報告
1. 開催主旨
昨年末のCOP13で合意されたバリ行動計画により、ポスト京都議定書の国際枠組を議論する公式プロセスが立ち上げられた。合理的で実効性ある国際枠組の構築にあたっては、各国の削減負担の公平性を確保しつつ、途上国を含むすべての主要排出国が責任ある形で参加していくことが必要であり、各国の産業界、研究者が実現可能性の高い有効な手段について専門的知見を交渉プロセスにインプットしていくことが求められる。
このような問題意識に基づき、産業界を主体に日米欧の有識者、専門家が一堂に会し、各国産業界の取組み状況と今後の温暖化対策の国際枠組について、特に「セクター別アプローチ」に焦点をしぼり、議論した。
第一部ではテーマを「気候変動問題に関する産業界の最新動向」とし、第二部では「京都議定書以後の国際枠組としてのセクター別アプローチの有効性と課題」をテーマに挙げ、ともに有識者と産業界によるプレゼンテーションを行った後、パネルディスカッションを行い、議論を深めた。
なお、開会の来賓挨拶は鮫島章男氏(日本経済団体連合会 環境安全委員会共同委員長)、閉会挨拶は新藤義孝経済産業副大臣が行った。
2. 開催概要
日時:2008年3月10日(月) 午前10時~午後5時30分
場所:経団連会館 14階 経団連ホール
主催:財団法人地球産業文化研究所
後援:社団法人日本経済団体連合会
3. 参加者
【海外講師】
○Gwyn Prins教授(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)
○David Montgomery博士(チャールズ・リバー・アソシエイツ・インターナショナル)
○William L. Kovacs氏(全米商工会議所 副会頭)
○Norine Kennedy氏(USCIB:米国国際ビジネス協議会 事務局次長)
○Robert J. Chase氏 (IAI:国際アルミニウム協会 事務局長)
○Brian P. Flannery氏(Exxon Mobil社 安全・健康・環境部科学・戦略・企画グループマネージャー)
○Massimiliano Varrucciu氏(Enel社 中国事務所長)
○Graeme Sweeney氏(シェル・インターナショナル・ペトロリウム社 上級副社長)
※当初、欧州の経済団体BUSINESSEUROPEに参加要請をしていたが、参加困難となったため、Daniel Cloquet氏(Director)から送付されたBUSINESSEUROPEとしてのメッセージレターをパネル討議の冒頭で紹介した。
【来賓及び国内講師】
○新藤 義孝 経済産業副大臣
○鮫島 章男 氏(日本経済団体連合会 環境安全委員会共同委員長)
○本部 和彦 大臣官房審議官(経済産業省、エネルギー・環境担当)
○笹之内 雅幸 氏(日本経済団体連合会 地球環境部会部会長代行)
○山口 光恒 特任教授(東京大学先端科学技術研究センター)
○澤 昭裕 教授(21世紀政策研究所研究主幹)
○岡崎 照夫 氏(新日本製鐵株式会社 環境部部長)
○渡邊 広志 氏(電気事業連合会 立地環境部長)
【参加人数】
産業界、学界(専門家等)、学生、メディア、官公庁、外国大使館、NGOなど多岐に渡り、400名以上がシンポジウムに参加した。
4. プログラム
<開会> |
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10:00 |
開会 |
10:00-10:10 |
来賓スピーチ:鮫島章男氏(日本経済団体連合会 環境安全委員会共同委員長) |
<テーマ1.気候変動問題に関する産業界の最新動向> |
地球温暖化問題に関する日米欧3極の産業界の最新の取組状況について情報を共有し、各国政府の施策が産業界に与える影響を明らかにする。その上で、2013年以降の枠組み構築において、経済活動や国民生活に過剰な負担を課すことなく実効的な削減を行う方法について、共通の認識を醸成し、そのために協働すべき事項について明らかにする。 |
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10:10-10:30 |
Gwyn Prins教授(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス) |
10:30-10:50 |
David Montgomery博士(チャールズ・リバー・アソシエイツ・インターナショナル) |
10:50-11:10 |
笹之内雅幸氏(日本経済団体連合会 地球環境部会部会長代行) |
11:10-11:20 |
William L. Kovacs氏(全米商工会議所 副会頭) |
11:20-11:40 |
Norine Kennedy氏(USCIB:米国国際ビジネス協議会 事務局次長) |
11:40-12:00 |
Robert J. Chase氏 (IAI:国際アルミ協会 事務局長) |
12:00-13:00 |
モデレーター:GISPRI専務理事 蔵元進 |
<テーマ2.京都議定書以後の国際枠組としてのセクター別アプローチの有効性と課題> |
セッション1で討議した日米欧3極産業界の共通認識を踏まえ、公平でかつ合理的で実効性のある国際枠組を実現する手段の一つとして、セクター別アプローチを取り上げる。各産業界における具体的なセクター別アプローチの取組を紹介しつつ、セクター別アプローチをどのような分野において、どこまで推進させることができるか、今後の可能性と課題について討議を行う。 |
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14:00-14:20 |
山口光恒 特任教授(東京大学先端科学技術研究センター) |
14:20-14:40 |
澤昭裕 教授(21世紀政策研究所研究主幹) |
14:40-15:30 |
各国企業からのセクター別アプローチに関する具体的取り組み紹介
・Brian P. Flannery氏(Exxon Mobil社 安全・健康・環境部科学・戦略・企画グループマネージャー)
・Massimiliano Varrucciu氏(Enel社 中国事務所長)
・Graeme Sweeney氏(シェル・インターナショナル・ペトロリウム社 上級副社長)
・岡崎照夫氏(新日本製鐵株式会社 環境部部長)
・渡邊広志氏(電気事業連合会 立地環境部長) |
15:45-17:20 |
モデレーター:GISPRI専務理事 蔵元進 |
17:22-17:30 |
閉会の挨拶:新藤義孝 経済産業副大臣 |
(講演の様子) |
(パネルディスカッションの様子) |